2011年09月08日

小室直樹

■おすすめ著作
『ソビエト帝国の崩壊』、『新戦争論』、『日本教の社会学』、『日本人の可能性』、『国民のための経済原論I・II』

『ソビエト帝国の崩壊』は、私が生まれる前に出た著作である。実際にソ連が崩壊したのは、私が九歳の時であった。それからさらに十年後に、本著を読むことになった。

 ソ連崩壊が過去のものとなり、米国の一人勝ちとその後の同時多発テロ、中国の台頭ばかりが目立つ今となっては、内容が古いという評価も多い本著だが、私にとっては、本著は「ソ連崩壊を正しく予言した」稀有な努力家の書いた書物として心に残っている。

 出版当時は、多くの日本国民にトンデモ本として受け止められた。しかし、私は「努力する天才の眼には、少なくとも十年先が見えている」と思う。本著が出ておよそ十年後に、ソ連は崩壊した。

 ということは、十年後のアメリカや中国、そして十年後の日本がどうなるか、見えている人には見えているのだろう。そして、その人は、今現在はトンデモ学者と言われている人のうちの誰かなのかもしれない。

「心技体」という言葉がある。私は、アメリカは「体」から、中国は「技」から、そして日本は「心」から崩壊するであろうと感じている。しかし、この私のなけなしの知性による身勝手な予想は、小室直樹氏の網羅的で深遠な先見の明に比べれば、非常に偏狭なものだろう。

 小室氏は、ソ連崩壊の十年前から、そのことを、「予言」した上に「断言」したように思う。この精密さは、機械的精密さというよりは、動物が人間よりも早く地震を察知して逃げるときの五感の精密さのほうに似ていると、私には思える。
posted by 岩崎純一 at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 人物評論・書評