岩崎純一のウェブサイト > 第二ブログ(人文学・社会学のサブ)
岩崎純一のウェブサイトトップ
http://www.iwasaki-j.sakura.ne.jp/
:サイトのトップページ
<<[*]前の記事へ  [#]次の記事へ>>

北村紗衣編 『共感覚から見えるもの−アートと科学を彩る五感の世界』 がつける日本の共感覚研究界の道筋と、共感覚についての私の今後の目標
(岩崎純一 at 05/29 23:59)
[1/6ページ]
目次
■序文 ―本著がつける日本の共感覚研究界の道筋―
■著者陣の不思議
■現在の私の共感覚についての関心事項と、共感覚者ユートピアの可能性について
■「フェミニズム運動家が出した共感覚本」という声について
■「共感覚に意見しない」ところに残る共感覚観
■ニッチな共感覚の探究を在野で行うことの意味を考える
(DV・性被害・虐待被害女性、精神障害者、発達障害者、巫女、社家の子女、歌道家の子女、芸妓・舞妓などの共感覚についてのフィールドワーク)


■序文 ―本著がつける日本の共感覚研究界の道筋―

 注目していた標記の著がようやく日の目を見たということで、早速読んでみた。そんな中、ぜひ感想をブログに書いて下さい、と言われた。
 著者・読者から計三冊もご恵贈されそうになったので、最初の一冊だけ頂くことにした。
 本著の内容自体は、それぞれの著者のこれまでの著書や論文にすでに書いてあることが多く、私が紹介するまでもないし、私としても読んだことがない内容はなかったとは言えるが、それでも労作であり、良書であると思う。これを一冊手に入れれば、とりあえず日本人の共感覚研究者たちの文章が一通り読めるということで、有意義だと感じる。
 これらの編者・著者や、あとがきに挙げられている協力者については、私も半数ほどにお会いしたことがあるので、その方々の共著がこうして見られるのは面白い。
 最近7・8年は、北村氏・松田氏・湯澤氏など、本著に実名で登場している共感覚者の皆様とはほとんど縁がなくなってしまったが、共感覚に関するパネル発表のサイトでの頒布資料など、北村氏・本著の著者界隈の共感覚資料はおそらくほとんど拝読しており、これはきっと北村氏の単著としてよりも人文系・芸術系の共感覚研究者陣の共著として何か出すのだろうとは期待していた。
 今後しばらくは、本著が日本の共感覚研究界の道筋をつけ、売れる本とはならないまでも、共感覚に関心を持つ人の間ではスタンダードな教材になり、若手の共感覚研究者も学生たちも、必ず本著を通ることになるだろう。
 出来の良い本なので、書かれてある内容については私がここで書くところがないわけだが、本著を含めた日本の共感覚研究および共感覚研究者が全く足を踏み入れていない領域のうち、私がもっぱら個人として在野・私費で研究している分野を中心に、書いてみようと思う。


■著者陣の不思議

 それにしても、出版後、読者から「岩崎さんはこの本に呼ばれなかったのですか?」と尋ねられた上、著者の三名からも出版前後に同じことを言われたので、何も書かないのは心苦しく、それなりに本著に触れる意味はあるのだろうと思う。
 結果的に、本著内で私に触れているのは日本大学藝術学部文芸学科の山下聖美教授のみで、他の数名の著者からは、「本当は岩崎さんに触れたかったが、なんとなく登場させられなくて申し訳ない」旨の連絡があった。触れなくてももちろんよいのだが、山下教授のみが私に触れているのにはおそらく理由があって、教授が日本文学研究者であることがまずは根底にあるだろう。
 今回の書籍について、最も私の関心を呼び起こした点は、内容それ自体よりも、ここまで共感覚観どころか学術的立場や思想信条や文体の異なる共著者たちが、どうして編者である武蔵大学の北村紗衣専任講師に呼ばれたのかという点である。
 そして、その経緯や苦労が書かれたあとがきを見てみるに、やはり大学や学会などで面識のあった共感覚者や研究者どうしが集まったのではなく、北村氏がとにもかくにも面識のない著者候補にも「ヒップホップか何かのプロデューサー」のように「コンタクトをとるというようなことを繰り返し」て集めたと面白いことが書かれてある(p413)。
 一方で、本著は人文系・芸術系分野に絞ったためか、本著に著者が呼ばれていない日本の著名な共感覚研究グループには、東大の統合的認知研究グループ(横澤一彦教授)や立教大の現代心理学部心理学科(浅野倫子助教)などがある。ただし他にも、東大、京大、東京藝大、早稲田大、専修大、宇都宮大、徳島大などに人文系・芸術系の共感覚研究者がいる。
 一方で、松田英子氏(日本共感覚協会)や湯澤優美氏など、日本の共感覚研究の黎明期に北村氏と共に大学生であった理系や心理学系の研究者や社会人が、協力者に名を連ねている。
 また、家政系の大学や女子大学には、共感覚を利用し
[6]次ページへ>>

右斜め下コメント(0)
右斜め下トラックバック(0)

<<[*]前の記事へ  [#]次の記事へ>>

0このブログのトップ

Powered by
さくらのブログ